ルルレモン・アスレティカ(LULU) 世界に進出するフィットネスウェアブランド

ルルレモン・アスレティカ(LULU) 世界に進出するフィットネスウェアブランド

ルルレモン・アスレティカ(LULU)はヨガウェアをはじめとしたフィットネスウェアのブランドです。

ヨガ人口の増加に伴って急成長し、北米、オーストラリアを中心に全世界に411店舗を展開、2017年度の売上高は26億4918万ドル(前年比+13%)でした。

ナイキやアディダス、アンダーアーマーが競合にあたりますが、ナイキやアディダスが「スポーツウェア」というイメージであるのに対し、ルルレモンは「ヨガウェア」「フィットネスウェア」というイメージで浸透しています。

競合企業が激しい競争や度重なる値引き、移り変わるトレンドに苦しめられる中、ルルレモンは着実にマーケットを拡大し、ITスタートアップ並みの成長を続けています。

メインブランドのlululemon(ルルレモン)と、姉妹ブランドでキッズ向けのivivva(イヴィヴァ)があります。

世界的な「ヨガ」ブームの流れに乗り出店を拡大しており、ヨガウェアといえばルルレモンというブランドイメージを確立しています。

ルルレモン(LULU)の総合評価

成長性 毎年10~15%のペースで売上高が増加
ヨガの市場規模は今後も拡大することが予想されている
差別化 ヨガウェアといえばルルレモンというブランドイメージを確立
利益率 営業キャッシュフロー・マージン15%以上
商品は5,000円~35,000円と高価格帯のため利益率が高い
不景気耐性 × 高価格帯ブランドなので、不景気に弱い
決算 2018年4月(第1四半期)の決算は良かった
2018年7月(第2四半期)の決算は素晴らしかった
総合評価 「ヨガウェア」という新ジャンルを開拓
ヨガウェア市場でナイキなどの有名ブランドに先行
今後は中国や韓国市場が有望
ヨガ市場の拡大に合わせて、今後も成長が期待できる

◎・○・△・×の4段階で評価
最終更新日:2018/09/08

普段着としても使えるおしゃれなデザイン

普段着としても使えるおしゃれなデザイン

ルルレモンの人気がこれほど高まったのは、ヨガやランニングなどのフィットネスウェアとして機能的で着心地がいいだけではなく、普段着としても使えるおしゃれなデザインにあります。

アメリカでは現在、「アスレジャー」と呼ばれるスポーツウェアを日常的に着るスタイルが定着しています。アスレチックとレジャーを組み合わせた造語で、ヨガスタジオやフィットネスクラブで着るヨガパンツやタンクトップ、スポーティーなレギンス、スニーカーなどのスポーツウェアを、普段着として着こなすスタイルです。

ニューヨークで人気に火がつき、アメリカ全土へ拡大しました。ブームが終わったあとも人気は衰えることなく、新たなファッションスタイルとして定着しました。

ルルレモンは、そのおしゃれなデザインから、アスレジャーブームの代名詞となっており、単なるヨガウェアブランドに留まることなく、流行の最先端をいくファッションブランドとしての地位を確立しています。

浮き沈みの激しいファッション業界で、顧客のロイヤリティーを獲得し、「ブランディング」に成功した稀有な企業だと言えます。

高単価な商品構成となっており、例えば、日本ではジャケット(3万1800円)、パーカ(1万5800円)、タイツ(1万4200円)、タンクトップ(7500円)で販売されています。他のヨガウェアブランドの倍近い価格設定です。

商品構成が5,000円~35,000円と高価格帯であるにも関わらず、「ブランディング」によって差別化されているので、ファンは好んで同社の商品を買い、安定した収益を上げています。

独特のオシャレでカラフルなデザインがとっても可愛いブランドです。

注目すべきは、その着心地!
ヨガをするときに最高のパフォーマンスが出せるように、工夫された裁縫に感動します。

そして、何度洗っても伸びない、傷まない!
丈夫な作りにも感動です。

他のヨガウエアブランドよりもお高いのですが、何回洗っても新品のような着心地なので、つい、リピート買いしてしまいます。

LAセレブにも大人気!ヨガウェアブランド♥lululemonの魅力

カナダ バンクーバーの1店舗から世界411店舗へ

バンクーバーのルルレモン

ルルレモンは1998年にチップ・ウィルソンによって創立され、第1号店は2000年にカナダのバンクーバーで誕生しました。

ヨガウェア特有のストレッチ性のある素材で作られたウェアは、ヨガやランニング、フィットネスに最適で、すぐに人気が出ました。

創業者のチップは単にヨガウェアを販売するだけではなく、「ヨガやランニングなどの運動を通して精神的、身体的に体を健康にして、生活を豊かにしよう!」というコンセプトを顧客やスタッフ、ヨガインストラクターに伝えることに力を入れ、ヨガ文化を広め、彼の思いに共感するファンを獲得していきました。

当初はバンクーバーの店舗の運営しか考えていなかったチップですが、ルルレモンのヨガウェアと、彼のコンセプトは多くの人に受け入れられ、カナダの他の都市、アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパ、アジアへと世界中に展開していくことになります。

日本からは2008年に一時撤退、2016年に再上陸

lululemon GINZA SIX
(画像 lululemon GINZA SIX)

ルルレモンは2006年に株式会社デサントとの共同出資により、ルルレモンジャパン株式会社を設立し、日本に進出しました。青山でオープンし目白、自由が丘、名古屋の栄市にも店舗を設けました。しかし、経営資源を米国に集中するためという名目で、2008年に撤退しています。

一度日本から撤退したルルレモンですが、2016年に日本に再上陸します。事業戦略はアジア地域を統括する香港のアジア・パシフィック本社が担っています。

2016年に原宿と大阪にショールームを開設、2017年にはGINZA SIXに1号店、新宿マルイに2号店をオープンします。2018年には既にテラスモール湘南とラゾーナ川崎プラザに出店しています。

ショールームや各店舗では、毎日にようにヨガ教室をはじめとしたイベントが開催されています。

2013年のリコールによる落ち込みから復活

ルルレモンは、2013年に「ヨガパンツが薄くて透けて見える」という製品上の問題が発生し、女性向けヨガパンツの17%をリコールしました。ルルレモンの製品は台湾をはじめとしたアジアで生産されていますが、在庫を入れ替えるまでに時間がかかり、同社のサプライチェーンに問題があることが明らかになりました。

その後、サプライチェーンの見直しが行われ、リコールによる悪影響は収束しました。最近は魅力的な新製品の投入や出店計画の見直しが行われ、業績が大きく改善しています。

拡大するヨガ市場

ルルレモンが2008年に一度日本から撤退した理由は、日本のヨガマーケットの市場規模がまだ小さかったためと考えられます。

ルルレモンが日本に進出する前年、2005年の日本のヨガ人口は約29万人、市場規模は約176億円という推計があります。(出典『2005年の日本のヨガ市場速報』BRICs経済研究所レポート)

それから約10年後、2017年の調査によると、日本のヨガ人口は約770万人、市場規模は約2600億円となっています。(出典『日本のヨガマーケット調査2017』株式会社セブン&アイ出版 )

約10年で日本のヨガ人口は26倍、マーケット規模は15倍になった計算です。集計方法が異なるので正確な比較はできませんが、生活実感としても、街中でヨガ教室を見かけるようになったり、日常的にホットヨガに通う女子が増えたりと、確実にマーケットは拡大しています。

世界的に見てもヨガの市場規模は今後も大きく拡大していくと予想されています。

ヨガをはじめとした、健康への取り組みの市場規模推移(2013年 – 2025年)

ヨガの市場規模

(出典『Alternative And Complementary Medicine Market Analysis By Intervention (Botanicals, Acupuncture, Mind, Body, and Yoga, Magnetic Intervention)』, By Distribution Method, And Segment Forecasts, 2018 – 2025)

ルルレモンの業績データ

lululemon(ルルレモン)の店舗数

lululemon(ルルレモン)の店舗数推移

2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017
アメリカ 78 108 135 168 200 230 246 270
カナダ 44 47 51 45 46 48 51 57
オーストラリア 11 18 23 25 26 26 27 28
中国 6 15
イギリス 2 6 9 9
ニュージーランド 1 2 4 5 5 5 6
シンガポール 1 2 3 3
韓国 2 3
ドイツ 1 1 2
日本 2
アイルランド 1
スイス 1 1
合計 133 174 211 254 280 320 351 397
前年比 +41 +37 +43 +26 +40 +31 +46

主力のlululemonブランドは店舗数を順調に拡大しています。ブランドが根付いているアメリカ、カナダ、オーストラリアだけでなく、中国や日本などのアジア地域、イギリスやドイツなどのヨーロッパ地域など、全世界に展開を進めています。

ヨガ市場は拡大傾向にあり、同社の店舗もまだまだ出店余地があります。これからは、中国や韓国が有望な市場になると考えられており、同社の成長に期待が持てます。

ivivva(イヴィヴァ)の店舗数

ivivva(イヴィヴァ)の店舗数推移

2013 2014 2015 2016 2017
アメリカ 3 11 31 42 4
カナダ 9 11 12 13 3
合計 12 22 43 55 7
前年比 +10 +21 +12 -48

ブランド戦略見直しの一環として、キッズ向けブランドのivivvaは2017年に55店舗中48店舗を閉店しました。残りの7店舗については、将来への布石として、当面運営を続ける予定です。ivivvaの商品は引き続きECサイトで購入することができます。

ルルレモンの売上高内訳

ルルレモンの売上高内訳の推移

売上高内訳 2014 2015 2016 2017
実店舗 1,348,225 1,516,323 1,704,357 1,837,065
ECサイト 321,180 401,525 453,287 577,590
アウトレット 127,808 142,675 186,748 234,526

(表示単位 1,000ドル)

売上高の約7割が実店舗、2割がECサイト、1割がアウトレットとなっています。いずれの販路も着実に成長を続けています。

高単価の商品のため、店舗で実際に手に取って、試着して、購入するという、対面販売が重要な販路です。

ルルレモン・アスレチカの既存店売上高比較(前年比/為替要因を除く)

ルルレモン・アスレチカのECサイト売上高比較(前年比/為替要因を除く)

年月 既存店売上高
2014 -1%
2015 4%
2016 5%
2017 1%

2017年はivivva(イヴィヴァ)店舗の大量閉鎖の影響により既存店売上高はよくありませんでした。2018年4月決算の既存店売上高は、前年同期比+8%と素晴らしい結果が出ています。

ルルレモン・アスレチカのECサイト売上高比較(前年比/為替要因を除く)

ルルレモン・アスレチカのECサイト売上高比較(前年比/為替要因を除く)

年月 ECサイト
2014 24%
2015 30%
2016 13%
2017 27%

ECサイトの売上高は高い成長を維持しています。

ルルレモンの決算

ルルレモンの決算月は1月です。

  • DPS:1株あたり配当
  • EPS:1株あたり利益
  • CFPS:1株あたり営業キャッシュフロー
  • SPS:1株あたり売上高
  • マージン:営業キャッシュフロー・マージン

ルルレモンの業績推移

年月 DPS EPS CFPS SPS マージン
2015年1月 0.00 1.66 2.18 12.45 18%
2016年1月 0.00 1.89 2.12 14.65 14%
2017年1月 0.00 2.21 2.81 17.07 16%
2018年1月 0.00 1.90 3.59 19.45 18%

配当は無配方針です。利益、営業キャッシュフロー、売上高ともに増加しています。営業キャッシュフロー・マージンは15%以上あります。

2018年1月期の利益が減少しているのは、ブランド戦略見直しの一環として、ivivvaブランドを55店舗中48店舗閉店したためと、アメリカの税制改革による影響です。これらの影響を除いたEPSは2.59ドルになります。

ルルレモンの四半期決算

四半期 EPS 売上高 EPS
サプライズ
売上高
サプライズ
EPS
前年同期比
売上高
前年同期比
Q1 2017.04 0.32 5.20億ドル +14.29% +1.32% +6.67% +4.79%
Q2 2017.07 0.39 5.81億ドル +11.43% +2.42% +2.63% +12.93%
Q3 2017.10 0.56 6.19億ドル +7.69% +1.50% +19.15% +13.70%
Q4 2018.01 1.33 9.28億ドル +4.72% +1.88% +33.00% +17.58%
Q1 2018.04 0.55 6.49億ドル +19.57% +5.55% +71.88% +24.87%
Q2 2018.07 0.71 7.23億ドル +44.9% +8.32% +82.05% +24.52%

※EPSは「1株あたり利益」のことです。
※サプライズはアナリストの事前予想平均に対して、実際の結果がどれくらい上回ったか、もしくは下回ったかを表します。プラスならポジティブサプライズ、マイナスならネガティブサプライズとなります。

ルルレモンの株価

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