トヨタは、歩行訓練ロボットを開発し、9月からレンタルを開始します。
歩行訓練ロボットは、脳卒中などで足が不自由になった患者がリハビリを行う際に活用されます。
ロボットを足に装着した状態で、前方に設置したモニターで姿勢を確認しながら歩く訓練をします。藤田保健衛生大学の才藤栄一教授によると、症状の重い患者のリハビリ期間は平均3ヶ月だが、トヨタの歩行訓練ロボットを使うと1.6倍早くなります。2ヶ月弱で訓練を終えることができる計算です。
少子高齢化で高齢者が増える社会において、歩行訓練は、社会や個人の活力を維持するために欠かすことができない要素です。
近年、飛躍的な進歩を遂げた、ロボットの二足歩行の技術が、今度は生身の人間の歩行に役立とうとしてます。
歩行訓練ロボットを皮切りに、介護を中心としたロボットは、2020年ごろに実用化される種類が増える見込みです。
世界初のパワードスーツとして、筑波大学の山海嘉之(さんかいよしゆき)教授を中心開発されたロボットスーツ「HAL(ハル)」は、2015年11月に医療機器「HAL医療用下肢タイプ」が厚生労働省に認可され、国内での利用が始まっています。2016年9月からは医療保険の摘要も始まりました。
トヨタは、「すべての人に移動の自由を提供する」をキャッチフレーズに、自動車以外のロボット事業にも力を入れています。少子高齢化で車の運転が難しくなる中、「歩く」ことをサポートするロボットの活躍が期待されています。
今回トヨタが発表した歩行訓練用ロボットは、レンタル価格で、初期費用100万円、月額35万円と、比較的高額です。まずは国内で3年程度かけて100台のレンタルを目指し、数年後には日本人と体格の似たアジアなど海外への展開も視野に入れています。この価格帯なので、当然、医療機関や介護施設での利用が想定されています。将来的には、参入企業も増えて、より安価な歩行訓練ロボットが開発され、一般家庭でも利用できるようになるでしょう。
トヨタ以外の自動車メーカーでは、ホンダも歩行支援ロボット「歩行アシスト」を2015年11月からリースで販売しています。価格は3年契約で月4万5000円です。2016年12月までに159台がリースされています。
ホンダは二足歩行ロボットとして開発した「ASIMO(アシモ)」の技術を活用しています。