投資環境:今週末、イタリアの銀行が危ないかも。預金の取り付け騒ぎに発展する危険性も。

今週末、イタリアの銀行が危ないかも。預金の取り付け騒ぎに発展する危険性も。

今週末、イタリアのモンテ・デ・パスキ銀行が危ないかもしれません。

同行は大量の不良債権をかかえており、ECB(欧州中央銀行)から、12月末までに負債の整理や、資本増強を行うように要求されていました。

モンテ・デ・パスキ銀行は、期限を1月20日まで延長して欲しいと訴えていましたが、ECBはこの要望を却下しました。

延長を要求した背景には、資本増強、つまり外部から同行への融資の交渉がうまくいっていなかった可能性があります。

もし、本当に資本増強が上手くいっていないならば、倒産を回避するために、イタリア政府はモンテ・デ・パスキ銀行に資本注入をすることになります。

これはEU憲法で禁止されていますが、銀行が倒産すると世界金融危機に発展するので、EUは認めることになると思います。

モンテ・デ・パスキ銀行は個人投資家向けにジュニア債を発行しています。

ジュニア債は、最も格付けが低い債権です。一方で、リターンは高くなります。ハイリスク・ハイリターンのため、個人投資家に人気があります。

イタリア政府からの資本注入を受けると、ジュニア債の価値は強制的に減額されます。

ジュニア債が減額されると、個人投資家や一般の人々の間であそこの銀行は危ないのでは?という懸念が広がります。

すると、危なくなる前に銀行から預金を下ろそうとします。

みんなが一斉に預金を下ろそうとしても、銀行には日常的にそんなにたくさんの現金はありません。

預金が下ろせないという事態が発生し、取り付け騒ぎに発展します。

今、日本やアメリカの株価は「過熱」しています。多くの投資家は「いつかは危ないかも」と考えながらもこの相場に乗っています。

もし、イタリア政府がモンテ・デ・パスキ銀行に資本注入するという発表を行った場合、投資家が一気にリスクオフに動く可能性があります。

ちなみに、2015年8月にギリシャの銀行に資本注入が行われたときは、ギリシャの銀行債券の価格が急落しましたが、ギリシャでは同時に預金保護を約束したため、大きな取り付け騒ぎには発展しませんでした。

この時は、同じ時期に世界同時株安が起きていますが、これは米国の利上げと中国の景気停滞が原因でした。

下はS&P500のチャートです。(a)の部分が2016年8月の急落場面です。

S&P500のチャート

このとき、金価格は上昇しています。下は金価格と連動するETF、GLDのチャートです。(b)の部分が株価急落と同じ時期です。

金価格

今回、投資家がリスクオフに動くならば、株価は急落します。その時、金価格は上昇します。そのような場面では、金や金鉱株を買うのがいいと思います。

金価格と連動するETFにはGLDがあります。金鉱株と連動するETFには、GDX(大型金鉱株)、GDXJ(中、小型金鉱株)があります。金価格の上昇に応じて3倍の値動きをするNUGT(ディレクション・デイリー・ゴールド・マイナー ブル 3X)もあります。

また、リスクオフの場面では米国債は買われます。債権が買われると、金利は下落します。現在の円に対するドル高は、金利の低い日本に対して、米国債が売られて米国の金利が上昇しているために起こっています。

リスクオフで米国債が買われて、米国の金利が下落すると、ドル円も下落する可能性が高くなります。

参考