企画会議の前には歩こう!歩くだけで創造性が1.6倍になるというスタンフォード大学の研究結果

企画会議の前には歩こう!歩くだけで創造性が1.6倍になるというスタンフォード大学の研究結果
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スタンフォード大学のマリリー・オペッゾとダニエル・シュワルツが発表した論文によると、歩くだけで創造性が平均して60%向上することが分かりました。企画会議やアイデアが求められる仕事の前には歩くのがいいようです。

歩くだけで創造性が向上

2014年に発表された論文『Give Your Ideas Some Legs: The Positive Effect of Walking on Creative Thinking』によると、人は歩くだけで創造性が向上することが分かりました。

実験では指定された「物」について、被験者に様々な「使い方」のアイデアを考えてもらいました。例えば「ボタン」をならば、「人形の目」「道に落として道標にする」などです。回答は何でもいいのではなく、現実的に可能であることなど一定の基準が設けられています。

座った状態とウォーキングマシーンで歩いた状態で課題に取り組んでもらったところ、歩いているときの方が回答数が平均60%多くなりました。

歩く場所は室内でも効果あり

歩く場所は室内でも屋外でも結果に違いが見られませんでした。室内でランニングマシーンを使って歩いても、屋外で歩くのと同様の効果がありました。

また、屋外で車椅子に座った状態で歩くのと同じコースを移動した実験では、室内で座っている状態とほとんど変わらない結果となりました。このことから、景色を見ることによる視覚的な効果はほとんどなく、創造性が向上したのは歩くことそのものの効果だと言えます。

歩くのをやめた後も暫くの間は効果が持続する

座った状態と歩いた状態を組みあせて、2回続けて課題に取り組む実験も行われました。組み合わせは「座る→座る」「座る→歩く」「歩く→座る」「歩く→歩く」の4パターンです。

それぞれのグループの結果は次のようになりました。

  • 「座る→座る」:わずかに上昇
  • 「座る→歩く」:大きく上昇
  • 「歩く→座る」:わずかに減少
  • 「歩く→歩く」:わずかに上昇
Give Your Ideas Some Legs: The Positive Effect of Walking on Creative Thinking

1番目の「座る→座る」と4番目の「歩く→歩く」のグループは1回目に比べて2回目の方がわずかに上昇しましたが、大きな向上は見られませんでした。2回目で上昇したのは1回目が練習になったためだと考えられます。

2番目の「座る→歩く」のグループは1回目に座って課題に取り組んだときに比べて、2回目の歩いて課題に取り組んだときの方が回答数が大きく上昇しました。歩くことが創造性にプラスの効果を与えたと考えられます。

注目したいのは3番目の「歩く→座る」のグループです。このグループは1回目に歩いている状態で課題に取り組んだ後に、2回目に座っている状態で課題に取り組みました。結果、座っている状態でも高い回答数を維持しました。最初に歩いた効果が、その後に座って課題に取り組んだときにも残っていたためと考えられます。

今回の実験では、歩くことの効果は少なくとも16分以上は持続することが分かりました。

答えのあるタスクには効果がない

アイデアを考えるという点では歩くことの効果は素晴らしいものがありますが、効果がない種類のタスクもあることが分かりました。

被験者に3つのキーワードから1つの単語を推測するという課題に取り組んでもらいました。例えば、「コテージ、スイス、ケーキ」というキーワードからは「チーズ」が正解になります。(日本語だとピンときませんが、英語だとチーズが連想できます。)

これは論理的に思考を巡らせて1つの正解にたどり着く収束的思考が求められる課題です。一方、これまでのアイデアを考えといるという課題で求められたのは、様々に考えを拡散させる拡散的思考です。

3つのキーワードから1つの単語を推測する収束的思考の実験では、座っている状態に比べて歩いている状態の方が、成績が若干低下しました。歩くことは論理的に1つの答えを求めるタスクには向いていないようです。

企画会議やブレインストーミングの前には歩こう

この実験で、歩くだけでアイデアを考える創造性が大きく向上することが分かりました。歩く場所は屋外はもちろん、室内でも効果があります。また、歩いた後もしばらくの間は効果が持続します。

企画会議やブレインストーミングの前には歩いてから参加するといいでしょう。もちろん、一人でアイデアを考えるときにも歩くのが効果的です。

出典