「石油とマネーの新・世界覇権図――アメリカの中東戦略で世界は激変する」を読みました。
石油が常時供給過剰状態になり、石油価格が長期低迷する理由、混迷する中東情勢など分かりやすく解説されており、勉強になりました。
アメリカのシェール革命により、近年、石油の供給能力が大幅に改善されました。しかも、アメリカ国内での採掘が可能になったため、世界情勢への耐性もあります。シェールオイル自体の供給はまだ少ないですが、供給余地はまだまだあります。当初は生産コストが高かったですが、わずか数年の間に技術革新が進み、生産コストも大幅に下がってきています。
中東では、アメリカがイランとの和解を進めています。これは、アメリカが対中国のアジア戦略に集中するために、中東への介入の負担を減らしたいという意図があります。イランの経済制裁が解除され、石油の生産、輸出が再開することで、中東の石油も供給過剰状態になります。
世界の石油の供給能力自体は、技術が進歩するに連れ、これまで採掘が困難だった地層からの採掘が可能になるなど、年々増加しています。
需給面からの石油価格の上昇は、当面無さそうです。
石油価格上昇の可能性としては、戦争など中東情勢の混乱、OPECの減産合意などでしょうか。