トランプ政権の閣僚人事をまとめていきます。
首席補佐官 – ラインス・プリーバス
- 首席補佐官は、政権No.2のポジション。
- 共和党全国委員長を務めた。
- 下院議長のポール・ライアンと同郷で、親友。夏休みも一緒に過ごしたりする。
- トランプが公約した税制改革を進めるには下院で法案を通す必要がある。
- ラインス・プリーバスを首席補佐官に指名したことは、ポール・ライアンとラインス・プリバースに税制改革を任せたということ。
- ポール・ライアンは下院議長を務めており、法案をどのように通すか熟知している。
チーフストラテジスト兼上級顧問 – スティーブン・バノン
- チーフストラテジスト兼上級顧問は、スティーブン・バノンのために特別に用意されたポジション。
- 首席補佐官のラインス・プリーバスと並ぶ、政権のNo.2。
- ブライトバート・ニュースという右翼系ウェブサイトのオーナー。
- 世相、世間の空気を読むのが上手い。
- 大統領選挙中もトランプに、庶民の声、雰囲気についてアドバイスしていた。
国防長官 – ジェームズ・マティス
- タカ派。
- 66歳(2016年11月現在)
- 元中央軍司令官
- アフガニスタン戦争やイラク戦争で部隊を指揮し、中東情勢に精通。
- 過激派組織「イスラム国(IS)」の掃討作戦を任される。
- アジアに関する経験は少なく、アジア太平洋政策は未知数。
- 退役から間もないため、シビリアン・コントロール(文民統制)の原則から議会の特別な承認が必要。承認に際して議会で厳しい追求を受ける可能性もある。連邦法では、軍人は退役後7年間は国防長官に就任できない。ジェームズ・マティスは退役から3年しか経っていない。
- 海兵隊出身で、2004年、イラクのファルジャジール制圧作戦で中心的な役割を果たした。
- アフガンやイラクを管轄する中央軍司令官を務め、13年に退役。
- 指揮官としての手腕は評価されている。
- 「アフガンでベールを着用しない女性に暴力を振るう連中を撃つのは楽しい」などと発言し、物議を醸したこともあり、「狂犬」のあだ名で知られる。
司法長官 – ジェフ・セッションズ
- メキシコからの移民に対してタカ派。
- 議会はしばらく税制改革がメインになるが、いずれ、移民問題が再燃する可能性がある。
国務長官
- 候補は以下。
- ミット・ロムニー
- ジュリアーニ、元ニューヨーク市長
- ボブ・コーカー、テネシー州上院議員
ミット・ロムニー
- 元マサチューセッツ州知事。
- 選挙期間中にトランプを激しく批判。
ジュリアーニ・元ニューヨーク市長
大統領補佐官 – フリン
- 国家安全保障問題でトランプ氏を支える。
- 元国防情報局長官
大統領副補佐官 – キャスリーン・マクファーランド
- 国家安全保障問題でトランプ氏を支える。
- これまでに共和党の3政権に仕えた。
- 1970年代にはキッシンジャー元国務長官の側近を務める。
国家安全保障補佐官 – マイケル・フリン
- タカ派。
- 共和党員ではなく、民主党員。
- オバマ政権で国防情報局長官に抜擢されてが、オバマ政権のイラク政策を「ぬるすぎる!」と批判したため、解任された。
- イスラム過激派と徹底的に対決する姿勢。
- 中東諸国はアメリカに対する警戒感から、協調姿勢が高まる可能性がある。
中央情報局(CIA)長官 – マイク・ポンペオ
- タカ派。
- 共和党下院議員。
- 陸軍士官学校(ウェストポイント)を主席で卒業。
- ハーバード・ロースクールでは、学生団体が発行する法律評論誌「ハーバード・ロー・レビュー」の編集長を務める。オバマ大統領も務めたとても名誉ある地位。
- イランの「6ヶ国核合意文書」に強硬な反対姿勢。
- 「6ヶ国核合意文書」は、イランに対する経済制裁を緩和する代わりに、核開発を抑制するという合意。
- イランは長年アメリカを中心とした経済制裁を受けてきたが、「6ヶ国合意文書」により、イランでの商機が高まっていた。
- アメリカ企業はイランへの進出を検討していたが、マイク・ポンペオの登場で、不確実性が高まっている。
大統領法律顧問 – ドナルド・マクガン
- 大手法律事務所ジョーンズ・デイのパートナー。
- 大統領選挙中もトランプ氏の選挙顧問を務める。
財務長官 – スティーブン・ムニューチン
- 53歳(2016年11月現在)
- 1990年代以降で3人目のゴールドマン・サックス出身の財務長官。
- ゴールドマン・サックスに約17年間勤務後、投資ファンドを設立。
- 近年は映画製作への投資を手がける。
- 大統領選でトランプ陣営の全米財務責任者を務めた。
- 金利や財政政策に関する見解は不明。
- ウォール街エリートの家系。
- 父はゴールドマンの経営委員会メンバーだった。
- 兄弟のアランもリーマン・ブラザーズやベア・スターンズなどの金融機関の職歴がある。
商務長官 – ウィルバー・ロス(見込み)
- 78歳(2016年11月時点)
- 純資産は29億ドル。
- プライベート・エクエティのW・L・ロスを率いる。
- 知日派。東日本大震災では多額の寄付金を集めた。
- 企業再建で資産家になった人物。
- 1990年代後半に経営破綻した幸福銀行(現関西アーバン銀行)を買収し、再建。
- 2000年代後半には鉄鋼業界の再建で成功し、世界的な鉄鋼再編にも影響を与えた。
- 昔は民主党の支持者だったが、2012年の大統領選挙で共和党候補のミット・ロムニーを支持。
- 2016年の大統領選挙では、トランプ大統領候補の通商・経済方針の擁護者として存在感を示し、トランプを批判するロムニーを非難した。
- ロス氏の起用は保護主義的な政策を推進する可能性を示唆している。
- かつてはTPPを評価していたが、大統領選挙中は自由貿易協定を再交渉するというトランプ氏を後押しした。1994年の北米自由貿易協定(NAFTA)や2001年の中国の世界貿易機関(WTO)加盟が米国内の雇用喪失につながったと批判。
- 環太平洋パートナーシップ協定(TPP)については、「最悪の貿易協定」と批判。
- 「次期大統領は中国にすぐに高関税を課すことはない。まず交渉する」と延べ、全面的な貿易戦争は回避したい意向と思われる。
商務副長官 – トッド・リケッツ(見込み)
- 大リーグ、シカゴ・カブスの共同オーナー
中小企業局長官 – リンダ・マクマホン
- プロレス団体「WWE」の前最高経営責任者(CEO)
- 68歳(2016年12月時点)
- 女性
- 大統領選挙でトランプを支援
運輸長官 – イレーン・チャオ
- 63歳(2016年11月現在)
- 元労働長官
- 台湾生まれの女性
- ブッシュ前政権でアジア人女性としてはじめて閣僚を務めた。
- 夫はマルコネ共和党上院院内総務の妻。起用には党主流派や議会との連携を円滑にする狙いもある。
国家経済会議の委員長 – ゲーリー・コーン
- ゴールドマン・サックスの社長
- 財務省、行政管理予算局(OMB)、連邦準備制度などでの起用が検討されていた。
厚生長官 – トム・プライス
- 共和党ジョージア州の下院議員
- 医療保険制度改革(オバマケア)反対の旗振り役を努めてきた。
駐中国大使 – テリー・ブランスタッド
- アイオワ州知事
- 70歳(2016年12月時点)
- 中国の習近平国家主席と個人的関係が深いとされている。
- 1985年に当時共産党委員会初期だった習近平が農業視察のために同州を訪れて以来交流があるとされている。
- ブランスタッドは83年から99年と2011年から州知事を務めており、州知事の通算在任期間としては最長。
駐日大使 – ボビー・バレンタイン(検討)
- 66歳(2016年12月時点)
- プロ野球千葉ロッテマリーンズの元監督
- 安倍晋三首相とは旧知の間柄
- 南カリフォルニア大学卒業。安倍首相も同大学で学んだことがある。
- 現在同士は地元コネティカット州のサクレッドハート大で体育局長を務めている。
- オバマ大統領が指名したキャロライン・ケネディ駐日大使は、米国に戻る予定。
政権移行チーム スポークスマン – ショーン・スパイサー
- 政権移行チームのスポークスマン。
イヴァンカ・トランプ
- 入閣はしない。
- でも、影響力大。
- 頭も切れる。
- ラインス・プリーバスの抜擢もイヴァンカの助言。
ジャレッド・クシュナー
- イヴァンカの夫。
- 優秀なビジネスマン。
- 不動産事業を行っていたが、リーマンショック前に物件をすべて売却し、5番街の666ビルを購入。
- トランプが大統領選挙で公認候補になって、選挙事務所がメチャクチャになった時に、見かねて乗り出した。すぐに責任者をクビにして、スピーチライターを雇って、スタッフを雇って、体制を立て直した。