戦後日本で米の消費量が減ったのは「パン食のせい」ではない?

戦後日本で米の消費量が減ったのは「パン食のせい」ではない?

戦後日本で米の消費量が減ったのは、欧米から渡ってきた「パン食」が普及したからだ、という意見を耳にしたことがあると思います。

でもこれ、「パン食のせい」だけではないと思います。

むしろ、おかずなどの副食が充実したために、米でお腹を満たす必要がなくなった、というのが主な原因ではないでしょうか。

昔の映画や本を見ていると、みんな、びっくりするくらいの量のお米を食べています。

これは単純に、カロリーや栄養素を確保する手段が、お米しか無かった、というのが理由だと思います。

今でも発展途上国と呼ばれる国々に出かけると、米食文化があるアジアの地域で、お米が十分に手に入るような場合は、山盛りのご飯を食べています。小学校低学年くらいの年齢の子どもたちが、吉野家の特盛りと変わらない量のご飯をペロッと食べているのを見たときは、ちょっとしたカルチャーショックでした。

戦後日本は豊かになるにつれ、手に入る食材も増えました。

そのため、「お米」に頼らなくても、おかずでかなりの栄養を確保することが可能になったので、自然とお米の消費量が減った、というのが大きな要因だと思います。

もちろん、「パン食」文化の影響もあると思いますが、パンを食べるのは主に朝食で、全体の割合から考えると昼食や夕食にはそれほど普及していないと思います。感覚的に言えば、2~3割程度でしょうか。米の消費量はそれよりも減っているのだから、原因をパン食だけに求めるのは無理があると思います。