ガソリンスタンドの店員が超長期投資で8.4億円の資産を築いた方法【投資法】

ガソリンスタンドの店員が超長期投資で8.4億円の資産を築いた方法
Photo by Aaron Andrew Ang on Unsplash

アメリカでガソリンスタンドの店員やデパートの掃除夫の仕事をして生計を立てていた男性が8.4億円の資産を築いたというエピソードをご存知でしょうか。

男性の名前はロナルド・リードといいます。彼は僅かな賃金からコツコツと大企業の株を買い続け、92歳で亡くなるまでに8.4億円(800万ドルを1ドル=105円で換算)の資産を築きました。

このエピソードは2015年にウォール・ストリート・ジャーナル、ワシントン・ポスト、CNNなどのメディアで取り上げられ、ブルーワーカーの一般男性が10億円近い資産を築いたということで全米で話題になりました。

ガソリンスタンドの店員が億万長者

ロナルド・リードは1921年にアメリカのバーモント州にある貧しい農家に生まれました。高校を卒業してから第二次世界大戦に従軍、24歳で退役して故郷に戻り、ガソリンスタンドの店員やデパートの用務員の仕事をして生計を立てました。

バーモント州の人口は州全体で約60万人とアメリカで2番目に少なく、山岳と森林ばかりの自然豊かな土地です。

ロナルド・リードはそんな片田舎でも特に地味な暮らしをしており、倹約家として知られていました。駐車料金を節約するためにわざわざ離れた場所に車を止めたり、ほつれたジャケットを安全ピンで留めて着ていたりしたそうです。車はトヨタの中古車でした。

誰も彼が何億円もの資産を持っている投資家だとは思っていませんでした。喫茶店ではあまりお金を持っていないだろうと思った常連客が代わりに支払いをしてくれたこともあったそうです。

投資スタイルは堅実な超長期投資

ロナルド・リードは少ない賃金で倹約をしながら生計を立て、余ったお金で株を買っていました。リードの投資スタイルは堅実な超長期投資です。彼は配当を出している優良企業に投資をし、一度買った株は売らず、受け取った配当は再投資していました。

最終的に95の銘柄を保有していました。JPモルガン・チェース、ウェルス・ファーゴ、アメリカン・エキスプレス、ジョンソン・アンド・ジョンソン、プロクター・アンド・ギャンブル、ゼネラル・エレクトリック、ダウケミカルなど、いずれも誰もが知っているアメリカを代表する企業です。

彼はよく分からないテクノロジー企業やブームになっている新興企業の株には手を出さず、生涯持ち続けることができる優良企業を選びました。

また、リードはウォール・ストリート・ジャーナルを毎日購読し、定期的に図書館に通いたくさんの本を借りていたました。ウォール・ストリート・ジャーナルは国際的な影響力を持つ日刊の経済新聞です。投資に関する知識をアップデートするとともに、読書家でもあったようです。

ウォーレン・バフェットも推奨する投資手法

リードの投資手法はウォーレン・バフェットが推奨するのと同じ方法です。

ウォーレン・バフェットは経営するバークシャー・ハサウェイの株主に送った手紙の中で、米国を代表する企業で構成される株価指数S&P500に連動する低コストのインデックスファンドを購入し、長い時間をかけて株式を買い続け、悪いニュースが出て株価が高値から下げても決して売らないことを勧めています。

分散投資でリスクを抑える

リードはインデックスファンドではなく企業に直接投資していましたが、複数の銘柄に分散投資することでインデックスファンドを購入するのと同様の効果を得ていました。

リーマンショックの引き金となったリーマン・ブラザーズにも投資していましたが、複数の銘柄に分散投資していたため、2008年に同社が倒産した際にも全体のパフォーマンスへの影響はわずかでした。

遺産の多くは地元の図書館と病院に寄付

彼は8.4億円(800万ドル)の遺産のうち2.1億円(200万ドル)を2人の子どもたちや友人、介護をしてくれた人に遺し、1.2億円(120万ドル)を地元の図書館に、5.4億円(480万ドル)を地元の病院に寄付しました。

倹約をして少しずつ投資資金を作り、配当を出す複数の優良企業にコツコツと投資して、一度買った株は売らず、配当を再投資するという方法で8.4億円(800万ドル)の資産を築いたロナルド・リードのエピソードをご紹介しました。

出典