2019年8月4日放送の「坂上&指原のつぶれない店」では発想の転換でバカ売れした商品として、亀屋良長(かめやよしなが)の「スライスようかん」が紹介されました。
年間50本しか売れないようかん
京都にある亀屋良長は1803年創業の老舗和菓子店です。こちらではさまざまな和菓子を扱っていますが、近年売上を落としていたのが和菓子屋の基本とも言うべきようかんです。
年間の売上が50本という状態が10年も続いていました。年間50本ということは、1週間に1本しか売れないということです。若い人がようかんを食べないというイメージはありましたが、ご高齢の方でもわざわざようかんを買って食べるという方は少なくなっているようです。
スライスようかん誕生の秘密
まったく売れていなかったようかんですが、ある工夫をしたところ大ヒット商品へと変身します。
ところで、みなさんは小倉トーストをご存知ですか?
名古屋の喫茶店で出てくる名物グルメで、食パンにあんことバターを載せてトーストして食べるというメニューです。あんこと食パンは相性がいいのです。
さて、亀屋良長の社長がようかんが売れずに悩んでいたある日、社長の奥様があるアイデアをひらめきます。
朝食のとき、ご子息が食パンにあんこを塗って小倉トーストにしようとしていました。しかし、冷えたあんこはなかなかきれいに伸びず、塗りムラができてしまいます。小倉トーストはおいしいけれど、あんこを塗るのは意外と面倒なのです。
この光景を目にした社長の奥様は、これだ!とひらめきます。
ようかんを使って、簡単に小倉トーストを作れるようにするアイデアを思いついたのです。
そして出来上がったのが、「スライスようかん」です。
スライスようかんはようかんを薄いシート状にスライスして、バターとケシの実をトッピングした商品です。
食パンに乗せてトースターで焼くだけで、焼きたての小倉トーストができあがります。ようかんとバターがグツグツとろけてとても美味しそうです。
スライスしてパンに乗せたら売上90倍
スライスようかんは「ようかんを薄くスライスしてトーストに乗せるだけで簡単に小倉トーストが楽しめる」というシンプルな商品です。これが大ヒットします。
売上は以前の90倍になり、テレビをはじめとした各種メディアでも取り上げられました。
面倒くさいから生まれるヒット商品
スライスようかんは「小倉トーストはおいしいけれど、あんこを塗るのは意外と面倒くさい」というところから生まれました。やったことはもともとあったようかんをスライスしただけです。他に特別な工夫はありません。
日常の「面倒くさい」にはヒット商品が生まれるヒントがたくさん隠れています。「この面倒くさいをどうにかして解決できないだろうか?」と考えると、思わぬヒット商品が生まれるかもしれません。